「テレパシー、シンパシー」

PL人数:3人

推定プレイ時間:5時間前後

 

●PLへの公開情報

リトライ:3

初期グリット:3

チャレンジ:3

クエリー:3

 

●シナリオ概要

 宇宙にて開催される大規模な研究成果発表会。様々な分野の最先端技術が集結し、地上への生放送も行いながら発表が行なわれる。宇宙で行なうことによりヴィランの襲撃の心配もなくなるという触れ込みだ!

 そんな舞台である”グラッドラッド宇宙船”にヴィランである「愛の宿り木」が目を付けた。彼らのお目当てはDr.プレジールが作り上げた"共感装置"だ。この装置から発する電波を浴びた者は近くに存在する他者の思考、即ち心が自らの心に直接伝わってくる。

 彼らはこの装置を衛星の電波に乗せて全国民に浴びせるつもりだ。その電波が永続的に続くように改造を加えて。

 他者の心の内が絶え間なく流れ込み続ける日々が続けば人々がいつしか発狂の道を辿るというのは火を見るより明らかだ。

 本土から遠く離れたこの場所で、頼れるのは宇宙船に乗り合わせたヒーロー達しかいない!取材陣や乗客、役人や科学者の想いが渦巻くこの船で、全てを守り抜けヒーロー!!

 

 

●エントリー

・エントリー1:

 キミは臨時警備員としてこのグラッドラッド宇宙船に乗り合わせている。

 もともとヴィラン組織である「愛の宿り木」を長らく追っていた君は国からの一報を受け、彼らがこの宇宙船に乗り合わせているかもしれないとの情報を得たのだ。

 今現在はサイドキックとして派遣された国からの役人である”幸守ナヅキ”と共にキミは発表会の成り行きを見守っている真っ最中だ。

 

 

・エントリー2:

 キミはWAVEの雇われリポーターとしてこのグラッドラッド宇宙船に乗り合わせている。

 WAVEとは昔から専属契約を交わしているのでも良いし、今回限りの契約でも構わない。何はともあれキミは数多くの取材メンバーと共に発表会の始まりを待っている。リーダーである”福丸シオリ”が最も期待しているのはとある心理工学者が作り上げたという「人の心が分かる装置」だ。

 

 

・エントリー3:

 キミは心理工学者Dr.プレジールの助手、もしくは友人だ。今は彼の補佐として発表会の場であるグラッドラッド宇宙船にまでやってきている。

 彼が長い年月をかけて懸命に作り上げた「共感装置」の発表が間近に迫る。ついに司会者がキミたちの名前を呼び上げる。緊張で震える足をなんとか前に進める彼を見守りつつ、キミとDr.プレジールは眩しいほどのフラッシュが焚かれる壇上へ上がっていく。

 

導入フェイズ!

-イベント1:警備-

 

登場PC:①

場所:グラッドラッド宇宙船-大広間の端っこ-

 

~状況1~

 ついリズムを取りたくなるような小粋な音楽、全ての足音を吸い込んでしまいそうな重厚な絨毯、定期的に場を包むシャッター音とフラッシュ。ここは数多くの技術が集結し作られた豪華宇宙船「グラッドラッド」の船内だ。窓からは幾千の星々が顔を覗かせている。

 ヒーローであるキミはこの宇宙船内にヴィラン組織である「愛の宿り木」が現れるとの情報を受け、この式の臨時警備員として配属されている次第だ。傍にはキミの補佐として国から手配された”幸守ナヅキ”とともに発表会の成り行きを見守っている。

 

「いやぁ、でもこんな形であれこのグラッドラッドに乗れたのはラッキーでしたね」

「抽選の倍率は何千倍、当たったとしてもそれなりの代金を払わなくちゃいけないところをこうしてお国の財布からタダで乗っけてもらってるんですから!」

「ほら、そこのWAVEの団体も、相当気合いが入ってるみたいです」

「①さんは前々から愛の宿り木を追ってるんですよね、捕まえられるといいですね……!!あああ、でも現れないのが一番かっ」

「何か起こった時は僕も頑張りますので!」

 

 そういう彼はミスティック、持っていた警棒をふよふよと浮かしながらキミとのんびり話し続ける。

 

~解説1~

  ①がこの宇宙船に乗り込んでいる場面を描写するシーンだ。グラッドラッド宇宙船はヴィランからの襲撃に備え厳重なセキュリティのもと地球を出発した宇宙船である。

 そして国からサイドキックとして手配されたナヅキは既に愛の宿り木の支配下にある。愛の宿り木がこの宇宙船に侵入できたのも他ならぬ彼のパワーのおかげだ。

 彼の思想はマザーの手により「全ての人々が幸せに生きるためには、全ての人々の気持ちを理解できる世界を」といったものに塗り替えられている。

 

~状況2~

  まだ研究成果発表会の時間には余裕があるようだ。大広間に並ぶ数多くの机の1つからジュースを拝借してきたナヅキは片方を①に手渡しつつ話を切り出す。

 

「……①さんはどうしてヒーローを目指したんですか?もっと、ほら、力を別のことに使えばあんまり大変な目に合わずに楽~に幸せに生きていくこともできるでしょうに」

 

~解説2~

 ナヅキは心の奥底で幸せとは何かで揺れている。この問いは彼の口を付いて出たものだ。ヒーローが返す言葉をナヅキは真剣に受け止める。

 このシーンの最後、ナヅキに「お、WAVEがざわつき始めましたね。もうそろそろ会が始まるのかもしれません!」と言わせ次のイベントに持っていこう!

エンドチェック!

□①が自分の立場を把握した

□ナヅキの問いに対し自らの意見を考えた

 

-イベント2:取材-

 

登場PC:②

場所:グラッドラッド宇宙船-メディアスペース-

 

~状況~

「さぁ!!そろそろ発表会が始まるわ!!各自、自分の持ち場について!!」

 取材チームのリーダーである”福丸シオリ”の通る声が周囲に響き渡る。キミは今このWAVEから派遣された取材チームの一員としてグラッドラッドに乗っている。任されたポジションはリポーターだ。

 

「いい②くん?きっと注目されている研究者の質疑応答は壮絶な争いとなること間違い無いわ!!」

「キミのそのフィジカルとメンタルを駆使して、バチっと情報を掴んできてね!!」

「あ、そうそう!今日一日はこの発表会の様子が生放送で放映されてるから、緊張して転んだりしないようにね」

 

 そう言うシオリはプログラムの用紙をキミに見せ1人の研究者の名前を指さす。

 

「特にこのDr.プレジール!!きっと今回の大目玉と言っても過言ではないわ!!」

「彼が発表する研究の内容をぼんやりとだけど掴んでるの、なんでも「人の気持ちが分かる装置」を開発したんだって!!」

 

 シオリは興奮気味に首に下げてるカメラを上下に揺さぶる。今回の取材にかなりの力を入れていることは明らかだ。自分でもかなり興奮していることに気づいたのか、少し恥ずかしそうに息を整えてから、話題を逸らすようにこんな言葉を投げかける。

 

「コホン……②くんは、人の気持ちを知りたいとは思わないの?」

 

~解説~

 WAVEは裏表なく今回の件に関わっている。ただその熱い報道魂は、後に大きな影響を及ぼしてくることとなるだろう。

 リーダーであるシオリはその中でも特に報道魂に火が付いている人物と言える。この世紀の大発明の全容を余すことなく知るという決意を秘めている。

 このシーンを終わらせるときはシオリに「あ!!ほら発表会が始まるわよ!!頑張ってね②くん!!」と②の背中を押させよう!

 

エンドチェック!

□自らの立場及び、この会が生中継されていることを把握した

□シオリの問いに対し自らの意見を考えた

 

-イベント3:発表-

 

登場PC:③

場所:グラッドラッド宇宙船-大広間・舞台裏-

 

~状況1~

 雨粒の音のようなシャッター音が湧き起こり続ける。数メートル先ではカメラのフラッシュがほぼ永続的に壇上を照らしている。キミの傍には緊張のあまり地面にへたれこんでいるDr.プレジールの姿がある。そう、きみは研究者側の人間としてこのグラッドラッド号に乗っているのだ。

 

「あああ……③!ワタシの足元は抜けたりはしていないか?急に立っていられなくなったんだが!?そうか、ここだけ無重力になったんだな!?スタッフを呼ばねば!!」

「クソ……手が震えて人が書けぬ……③、すまないがワタシの手の平に人を書いてくれ……」

 

 目の前で震えるDr.プレジールが作り上げたのは彼が「共感装置」と名付けたものだ。長年彼の様子を見てきたキミは、彼がいかに研究熱心で科学というものに真摯に向き合う人物かを知っている。

 そんな彼がほぼほぼ人生をかけて作り上げたこの発明は、世紀の発明と言っても過言ではないだろう。しかし如何せんこういった晴れ舞台に慣れていないのか当の彼の様子はと言うとこの有様だ。そしてついにキミたちの名前が読み上げられる!

 

「ダメだ!!いつまで経っても腰に力が入らぬ……ヴィランの仕業かもしれん……そういえば警備員としてヒーローが雇われていると聞いた……そうかやはりヴィラン……くそう……ワタシの腰の力を奪いよって……」

 

……さぁ行こう!!

 

~解説1~

 ③とプレジールが舞台裏で控えているシーンだ。プレジールとの関係、そして彼の人となりを知ってもらうことが目的である。

 プレジールが作り上げた「共感装置」の説明をしておこう。小型のスタンガンのような形をしたこの装置は、人の頭に押し付けスイッチを押すことで作動する。電波を脳に受けた人物は数分間、半径5mに存在する人の気持ちが直接自らの心に届くようになる。これを使えば、言葉を交わせない相手の意志を汲み取ることだってできるのだ。

 しかしデメリットも存在する。もともと人の意識とは止めどなく広く深いものだ。自分の意識を持つだけでも手いっぱいの我々が他者の心をそのまま受容すれば何が起こるのか。プレジールも試したことはないが答えは明白だ。よってこの装置を使用した場合は、自分と相手1対1の状態で使用することが絶対となる。

 

~状況2~

 

 キミたちは壇上に上がる。拍手とシャッターが混ざり合う。プレジールは大きく息を吸い、震える声で研究の成果を発表していく。足は小さく震え異様なほどの汗を拭いつつ震える手で指示棒を握り解説を続けるプレジール。しかし目だけはブレることなく、しっかりと資料と人々の間を往復する。キミが見続けてきた研究者の目だ。

 

「……のように、この装置を頭に押し当て先端から発される微弱な電波を脳に浴びることにより、目の前にいる他者の気持ちが直接伝わるようになるのです!」

「この技術は言語での意思疎通が難しい人々とのコミュニケーションのみならず、犯罪者が隠している真実を知るためにも応用できるのではないかと思っております!!」

 

 圧倒的な歓声が会場に響く。それは彼の発明が人々に認められた瞬間だ。綻んだ顔でキミのほうを見やるプレジール。そして彼は今一度人々に視線を向ける。最後に発明においてとても大切なことを発表するために。

 

「しかし、ワタシの発明したこの装置にも、至らぬところがあります!!注意すべき箇所がございます!!最後にそれを述べさせてもらい…「素晴らしい!!」

 

 そんなプレジールの言葉は、重ねるように放たれた、包み込むような柔らかい声で遮られた。

 

~解説2~

 皆が注目する「共感装置」がお目見えするシーンだ。ザックリと共感装置の説明を行なおう!

 一通りの説明を終え、彼が発明の注意点を述べようとした時に、「愛の宿り木」会長であるオールマザーが乱入してくる。展開フェイズへ移行しよう!!

 

 

エンドチェック!

□③がプレジールとの関係を把握した

□発表が終わり、何者かの声がした

 

展開フェイズ!

 

 

-イベント4:騒然-

 

登場PC:①②③

場所:大広間

 

~状況~

 

 どこまでも暖かみのあるその声に、会場は果てしなく凍り付いた。そう、舞台裏から現れたのはヴィラン組織「愛の宿り木」の会長、オールマザーだ。人々の不安げなざわめきが起こる。それを見やったマザーは眉を下げ申し訳なさそうな顔をしながらこう口を開く。

 

「皆さま、初めまして。”愛の宿り木”の会長を務めさせていただいております、オールマザーと申します。このような晴れ舞台に、私のような学無き無知な人間が水を差したことお許しください♡」

「しかしこのような素晴らしい発明を前に、私は黙って見ていることなどできませんでした」

 

 そしてマザーはしっかりと、報道陣の生中継が行なわれているカメラに視線を合わせると、こう続ける。

 

「地上に居られる、何億という人々にも、私はこの場を借りて問いかけたいと思います♡」

「遥か昔に、人は言葉という素晴らしい道具を得ました。しかし、言葉での意思疎通というものは、常に限界も孕んできたのです」

「勘違い、いざこざ、喧嘩、そして戦争……。それらは全て、我々が他者を真に理解することが出来ていれば、起こることも無かったのではないでしょうか!♡」

「Dr.プレジールの発明は、それらの問題など超越し、我々人類をさらなる高みに連れて行ってくれるものとなるでしょう!」

「どうですDr.プレジール、その装置、もっと人々の為になるように活用するおつもりは?」

「黙っていては分かりません、そうですね、しかしこのような大勢の前。緊張なさるのも仕方ありません。そうですね、では、2人きりになれる場所に」

 

 そういったマザーは両手を大きく天に掲げる。宙に浮かび上がったのは淡い光を放つ巨大なベルだ。

 

「それでは皆さまごきげんよう……私たちはいつでも、悩める全ての人々の心の傍に!」

 

 ゴーン、ゴーンと大きな鐘の音が船内に鳴り響く。脳を揺さぶるようにぶくぶくと沸き起こる数多の欲求。常人であれば心が持たないということは、ヒーローのキミたちならばすぐに分かるだろう。そしてどこからか羽ばたきの音が聞こえて来たかと思えば、大きな赤いオウムが取材陣の一人からカメラをぶんどり、それを鷲掴みにしたままどこかへと飛び去って行く。

 そして気が付いたときには既にマザーの姿は無く、自分の思うがままに理性のタガが外れた人々が大暴れしている光景が広がっている。そしてDr.プレジールの姿も、無い。

 

 ①、キミの傍にいたナヅキがこう言う。「大変だ……!!なんとか、なんとかしましょう①さん!!」

 ②、キミの傍にいたシオリがこう叫ぶ。「スクープ……、大スクープよ!!皆!!絶対に一部始終をモノにして!!」

 ③、キミの傍にいたプレジールはもういない。愛の宿り木に連れ去られたのであれば、早く見つけなければまずいということは、明らかだ!!

 

 さあ、これよりチャレンジ判定に移行する。今回行なう判定は3つ。このチャレンジ判定はそれぞれ別のPCが挑戦する必要がある。

 

判定1:白兵もしくは霊能

暴れる一般市民を取り押さえる。

判定2:科学

科学者たちが混乱して作動させた数多の危険な機械をストップさせる。

判定3:心理もしくは交渉

過激な映像を撮り続ける記者の面々に止めるよう呼びかける。

 

 判定3まで達成できなかった場合、決戦フェイズでのグリット使用が不可能になる。

 

-イベント5:伝心-

 

登場PC:②(①③)

場所:通路

 

~状況1~ 

 一通りの暴動を抑え終える頃には、会場は悲惨な有様だ。数々の発明品は破壊され、重厚な絨毯はもはや血を吸うタオルに他ならない。

 騒動の際にパニックになってしまったのか、会場内の人数も幾分か減っている。ぼんやりしている暇はなさそうだ。

 

 愛の宿り木を追ってヒーローたちは宇宙船の通路を行く。すると通路の影からひょっこりと顔をだす子供がいる。「愛の宿り木」幹部であるユーアーハッピーだ。

 

「おぉぅ!?ビックリしたぁ!!☆☆やっほ~~~!!☆ヒーローさんたち、ハッピーしてるかな~~~~~!?☆☆☆僕はもちろんハッピーだよ~~~~~!!!☆☆☆」

「あ!そこのヒーローさん!!☆そうそううぇーぶってところからきた人!!☆☆☆えっとね、上司さんかは知らないけど、カメラ持った女の人居たでしょー!!☆」

「その人が向こうのお部屋に居るよ~~!!☆☆☆ふっふふー!!きっと、とってもハッピーなんじゃないかなーー!!ハッピーなのはハッピーなことだよねぇ~~!!」

 

 そう言うとハッピーは羽ばたきながらとある部屋の前まで移動していく。

 

「ヒーローさんもハッピーなこの人を見て、いっぱいハッピーになろうよ!!」

 

~解説1~

 前のイベントで騒ぎが起こっている最中にいち早くシオリは抜け出し船内を捜索していた。その際にマザーに見つかり、この改良した装置をさっそく使ってみないかと持ち掛けられたのだ。世紀の発明を誰よりも早く感じられるチャンスと思ったシオリはその装置の使用を決意する。

 プレジールはマザーにそそのかされ装置にとある改造を施した。1つ目は効果範囲の拡大、そして2つ目は継続時間の永続化だ。

 

 

~状況2~ 

 部屋の扉を開けた先に居たのは頭を抱えて床にうずくまるシオリの姿だ。近くには共感装置が転がっている。彼女は②の姿を認めると後ずさるようにして後退した。

 

「ひっ!!やだやめてききたくないいやだ!!」

「皆の声が聞こえるの……心の中が……うるさいうるさいうるさい!!!あの人、わたしのことホントはうざったいやつだって……あの人はめんどうなやつだって思って……やだ、やだあああああ!!!」

「なにも信じられない!!やだ、やだ!!言ってたことと違うじゃない!?なにを信じたらいいのよ!!?やだ!!やだやだやだ!!!!」

 

 状況から推察するに、この共感装置を使用したことは明らかだ。

 

「②くんも、②くんもどうせ嘘つきなんでしょう!!?!?」

 

 さあ、どうしたものか?

 

 

~解説2~

 

 シオリは数多くの人間の意識・価値観・過去・感情が流れ込みパニックに陥っている。ここでは②は思うように返してもらって構わない。肯定しても良い、否定しても良い、何も言わずに居ても良い。②が現在何を感じているのかを問いかけ、それに応じてシオリに何かしらの反応を起こさせるのもいいだろう。

 

~状況3~

 そして背後に居たハッピーがシオリに近寄ると、彼女の頭を優しく抱きかかえ、心底愉快そうにこう告げる。

 

「ねぇおねーさん!!☆八つ当たりで周りの人をハッピーじゃない気分にさせるなんてすっごくアンハッピー!!自分がハッピーじゃないからって、そりゃー駄目さ!!☆☆」

「元はと言えば、おねーさんが招いた結果でしょー!?日頃の行いのせいでそう思われちゃってたのに、それでお相手さんにキレるとかぼーぎゃくぶじんのきわみー!!ってヤツだ!!☆☆」

「でもさ、おねーさん、確かに、自分はみんなの気持ちを感じてるってのに、みんなは自分の気持ちを理解してくれてないなんて、それはちょっとおかしいよねぇ☆☆」

「おねーさんがこんなにつらい気持ちになってるってみんなが知れば、おねーさんにそんなひどいこと考える人は居なくなるハズだよねぇ!!☆☆☆」

「だったら、どうしたらいいか、分かるよね?☆」

 

 ハッピーはうずくまっていたシオリに装置を渡す。しかしシオリは一度②の方を向いたのち、迷うように目線を泳がせる。

 それに痺れを切らしたハッピーは、シオリを持ち上げ、そのまま通路の方へと飛んで行く。

 

「おねーさん、まだ踏ん切りが付かないみたいだね!!☆仕方ないやー!!勇気が足りないんだね!!おねーさんが決意するまで、それまで、ちょっと借りてくよーー!!☆☆」

 

~解説3~

 シオリを焚き付けヒーロー達と相打ちさせる作戦のようだが、②に対し非情になり切れなかったシオリはハッピーに連れていかれることとなる。次に会うのはクライマックス手前だ。

 

 

エンドチェック!

□改造された共感装置の効果を知った

□ハッピーにシオリが連れていかれるのを目撃した

□グリットを1点得た

 

-イベント6:賭場-

 

登場PC:①②③

場所:娯楽スペース

 

※下記のチャレンジではトランプを使い賭けを行なっている。

トランプを用意することが難しい場合は適宜サイコロでの丁半博打に変更したり、このチャレンジ自体を失くすのもいいかもしれない。

 

~状況~

 先に進んでいけばやがて娯楽スペースに出る。どうやらカジノのような作りになっているようだ。その1つの台の向こうで、「愛の宿り木」幹部であるDr.ココロがトランプを組んでいる。

 

「お待ちしておりました、皆様方」

「お急ぎのところ申し訳ないのですが、私の実験もとい娯楽に付き合っては頂けませんでしょうか」

「お時間はおかけしません。乗り気ではありませんか?ああ、実験には報酬が付き物でしたね。ではこの度の実験の報酬はこの少年ということに致しましょう」

 

 台の奥に拘束されていたのは小さな少年だ。彼は助けを求めるような瞳でこちらを見つめている。

 

「しかし、どうしても参加したくないという場合もあるでしょう、その場合は無論辞退していただいても構いません」

「なに、簡単なギャンブルですよ。ああ、ご心配なさらず、皆様の有り金は全てこちらで握らせていただいておりますので……。スマイルスレイヴ、ご存じで?」

 

 

 さあ、チャレンジの始まりだ!今回のチャレンジではヒーローにギャンブルを楽しんでもらいたい!!

 最終的なチャレンジ成功の条件は「ココロに1人6クレジット支払う」ことだ。しかし支払いの前に1人一回ずつ、ギャンブルを行いクレジットを増やすことが出来る。ルールをまとめたものを下記に示す!

 

・ココロとのギャンブル

 ココロが引いたトランプの絵柄を当てるゲームだ。絵柄を当てれば掛け金4倍、色を当てれば掛け金2倍となる。賭けれる額は2・4・6クレジットのいずれかから選択。ギャンブルで増えたクレジットはこの場合に限り一時的にオーバーフローし、本シナリオが終了するまでは最大値を超えている場合もある。

1:ココロがカードを引く

2:ヒーローが掛け金を決定、次いで絵柄を当てるか色を当てるかを決め、絵柄もしくは色を宣言

3:カードオープン、結果に応じて掛け金の移動。

 

 今回のチャレンジを未達成のまま終了した場合、決戦フェイズに共感装置を使用された少年が加わる。

 

 指定の額を支払えばココロは満足そうにうなずいた後、ヒーローに少年を投げつける。彼自身はこの場から去ることはなく、大人しくヒーローに捕まることだろう。

 

 

-イベント7:迷走-

 

登場PC:①

場所:船内のどこか

 

~状況1~ 

 迷った!あの賭場から出て再びマザーの居場所を探し始めたのはいいのだが、完全に迷った!一緒にいるのはキミのサイドキックであるナヅキのみだ。

 

「ここさっきも通ったような……?ごめんなさい、こんなに入り組んでるなんて……」

「あっ、こっちかもしれません!!あっ、行き止まりだ」

 

 ナヅキは行き止まりの壁の前でしばらく立ち尽くす。そして①に向きなおればこのようなことを問いかけてくるだろう。

 

「①さんは、共感装置のこと、どう考えていますか?そう、人の心が分かることについて……です」

 

~解説1~

 ナヅキが①を罠にはめるためにわざと仲間とはぐれさせたシーンだ。この時点で彼は①を近くの部屋に突き飛ばすことを決意している。

 答えによってはナヅキが後々に①に投げかける言葉も変わってくることだろう。

 

~状況2~

ドンッ、と強い衝撃が①の身体を襲う。その勢いのまま、扉が開け放たれていた小部屋へと①は転がり込むこととなる。急いで顔を上げれば、薄ら笑いを浮かべたナヅキがこちらを見てこう言った。

 

「僕は、必要な物だと思います。」

「だって、今もほらぁ、僕の気持ちが分かんないから、こんなことになったんでしょう?」

「無理に扉壊そうとしないほうがいいですよ、宇宙船が壊れてしまうかもしれません」

「ここまでしちゃったんです、僕はもう、みんなを幸せにするほかないんです、後戻りできないんです」

 

 ナヅキの言う通り気密性が高く頑丈に作られたこの壁は破壊するのにも多くの手間と時間を費やしてしまいそうだ。

 

「心配、しないでください、次に会うときには、きっと何もしなくてもお互いが分かり合える、素敵な世界になっているはずです、絶対に」

 

~解説2~

 

 マザーに言われた通りナヅキが行動し、①を閉じ込めるシーンだ。閉じ込められた部屋は宇宙へと通じる扉がある宇宙遊泳用の空間であり、ちょっとやそっとの力では壁はビクともしないだろう。

 そうしてこの後のチャレンジイベントに繋がっていく。

 

 

 

エンドチェック!

□ナヅキの問いに考えを示した

□グリットを1点得た

 

-イベント8:共感-

 

登場PC:①②③

場所:①が閉じ込められた付近

 

~状況~

 ②③は①が知らぬ間に消えていることに気が付くだろう。周囲を軽く探索すればすぐになにやら騒がしい一角を発見することができる。

 そこでは①の姿はなく、ナヅキがただ一人扉を険しい顔で見つめている。彼に近づけば、このように叫ぶことだろう。

 

「来ないでください!!」

「お願いします……!!きっと、きっといい世界になるハズなんです……!!邪魔しないでください……!!」

「こ、ここで大人しくしててください!!じゃ、じゃないと、①さんが入っている部屋の向こう側の扉……宇宙空間と繋がっている扉を開放します……!!」

 

 彼の手は細やかな操作盤の、一つのスイッチに重ねられている。そしてキミたちがどのように行動するか迷っていると、後ろから足音が聞こえてくることだろう。ふり返ればそこに居たのは今回の黒幕、オールマザーだ。その横にはこれまでの共感装置とは違い一回り大きい通信装置のようなものがDr.プレジールによって抱えられている。

 そして一足遅れたと言わんばかりに、よろよろとシオリが現れる。彼女は生中継用のカメラを構えており、君たちヒーロー、そしてヴィランであるマザーたちをそのレンズに映しつづけている。

 

「ふふ、随分と賑やか……私も、混ぜて頂いてもよろしいでしょうか?」

「あぁ……、こちらですか?Dr.プレジールは物分かりの良いお方でして、この短時間であの装置に改造を加えていただいたのです。」

「この近くに人工衛星が飛んでいるのはご存知でしょうか?そう、WAVEが地上に生放送を送るために飛ばしているものです」

「それが最も接近するときに、この通信装置を使い衛星とアクセス……日本全土にこの共感装置の電波が送られれば、いったいどうなるのでしょう……!!きっと、社会は素敵な方向に向かうに決まっています!!♡」

「あぁ、その記念すべき行いは、是非Dr.プレジールがご自身で。彼が集中できるように皆様方はあまり大きな音などはお控えくださいね」

「躊躇っておられるのですか……?道徳の時間で教わるそうですね。その人の気持ちになって考えなさい、と。とても素敵な考えだと思います。しかしそれを実行するのはとても難しい。人の心など見えぬものですから♡」

「ですがこの発明はそれを可能にする、人の喜びが分かればその人に良い振る舞いをすることができますし、人の痛みが分かればその人に酷いことをしようとは思うことも無くなるでしょう」

「嗚呼、皆が皆を想い気持ちを感じることが出来る世界、なんてすばらしいのでしょう!!♡」

 

 プレジールは混乱した様子を見せながらも「ワタシの発明で、皆が幸せになれるなら……そうなら……」と少しずつ指を装置に伸ばしている。反対側にいるナヅキも同じく、大泣きしながらもボタンから手を離してはいない。それらすべてを映すシオリは、これまでのような熱に溢れた瞳はしておらず、ただただ戸惑うようにしきりに視線をブレさせてはレンズを覗き込むという所作を繰り返している。

 キミたちは感じることだろう。彼らの葛藤という心の内を!!このような行き過ぎた機械の力無くとも、ビリビリと伝わる彼らの意志と魂を!!

 彼らに迷う意志があるのならば、まだ打つ手はある!!!さあ、声を上げろヒーロー!!

 

判定1:心理or交渉

ナヅキを正気に戻す。この期に及んで迷ってるということは、彼の心の奥底が、今の行為を否定していることに他ならない!!

判定2:心理or作戦

視聴者がマザーの言葉に惑わされないよう、カメラの向こうの人々にこちらから呼びかける。

判定3:心理or科学

プレジールを正気に戻す。科学を心から愛していた彼が、自らの発明をこんな形で使うなんてあるはずがない!!

 

判定1に失敗した場合、混乱したナヅキが操作パネルをこぶしで叩き続ける。扉は開くが同時に宇宙への扉も開かれる。

決戦フェイズでのエリア1及びエリア2が「宇宙」となる。

判定2に失敗した場合、国民感情がマザーの方へと傾き始める。

決戦フェイズに登場するエネミーである”視聴者・国民”が強化された状態で登場する。

判定3に失敗した場合、Dr.プレジールがボタンを押してしまう。

決戦フェイズにタイムリミットが発生する。(電波が地球に届くまでの4R)

 

-イベント9:-

※前イベントの判定3をクリアしていることを想定にこのイベントは記載されている。もしも判定3をクリアできていなかった場合はマザーやハッピーを使い③に現在の心情などを問いかけると良いだろう。

登場PC:③(①②)

場所:通路

 

~状況~

 正気に戻ったプレジールは③にこう叫ぶ。

 

「③!!科学はなんのためにあるのか分かるか!!」

「人を幸せにするためだ!!結局はそこなんだ!!」

「③、悪いな。これまで散々応援してもらったっていうのに。でも、これは失敗作だった。ちぃとばかし、効き目が強すぎたようだ!!これは、人を幸せにするにはまだまだ早すぎた!!」

「けどな、流石に自分で壊すほどの覚悟も持ってはいない!!だから、一思いに頼もう!!」

「なぁーに、気にするな!!この装置は失敗だった、ワタシはこの長い長い年月をかけてその大発見をしたのだ!!!!これだから研究畑の人間はやめられない!!」

 

 ③に向かってプレジールは思いっきり装置を投げつける。

 廊下の先を見てみれば宙を舞う装置を奪おうと猛スピードで迫ってくる赤羽だ。さあ、どうする③!!

 

 

~解説~

 ③がプレジールの最高傑作である共感装置の破壊を任されるシーンだ。どのように破壊を試みても良いし、あえて壊さずに赤羽に盗まれない箇所に隠しておくのでも良い。ここでは③が共感装置に対しどのような引導を渡すのかを問いかけよう!

 どのような道を選んでも、前イベントの③をクリアしている限りは装置は起動することはない。

 

エンドチェック!

□共感装置に引導を渡した

□グリットを1点得た

 

 

決戦フェイズ!

-イベント9:シンパシー!-

 

登場PC:全員

場所:通路の開けた箇所

 

~状況~

 共感装置に引導が渡された後、改まってマザーはこちらの方を向く。

「あらあら……なんて困ったことを……」

「人間は雪が降り積もる石のお地蔵さまにまで、共感を覚えるほどに心を発達させた生き物です。人間は他者への理解と共に発展を遂げてきたと言っても過言ではありません♡」

「皆さま方の行動は、人間が更なる高みへ向かうための一歩を、邪魔しているのではありませんか?」

「……どうやら、分かり合えないようですね。仕方ありません♡けれど人は分かり合える生き物です、さぁ、私とオハナシ致しましょう!!♡」

 

さあ!!腕を振るえヒーロー!!

 

~解説~

 敵の配置は以下の通り。視聴者、シオリ以外のヴィランデータは本ホームページの「愛の宿り木」を参照して欲しい。少年のデータはクライアントを使用。視聴者はエネミー扱いではないため、倒さなくとも勝利となる。

 

エリア4:オールマザー・ユーアーハッピー

エリア3:赤羽・シオリ・視聴者・(少年*2)

 

 ヒーロー側はエリア1とエリア2のどちらか好きな方に配置すること。

 

~戦術~

・オールマザー:基本的にエリア4からは動かず、射程が届くパワーを使い攻撃してくる。オハナシと解放の福音を主に使用することになるであろうが、余裕があれば価値観矯正からの精神分析を試みるのもいいだろう。

・ユーアーハッピー:マザーと同じくエリア4からは動かずに天使の輪とhappy☆beamを使いヒーローのエナジーを削ってくる。目に付いた者に無鉄砲にパワーを放つので対象の決定は基本的にダイスを振るのがいいだろう。

・赤羽:かぎ爪で攻撃を試みながらオウム返しの機会を伺う。ヒーローが同じエリアに入ってくる気配がなければ自ら接敵も行う。

・シオリ:基本攻撃と激写!!を使いつつヒーローを翻弄しよう。ヒーローが何かしらの攻撃を躱す判定を行なおうとした際に、先読みで妨害をするのが良いだろう。

・視聴者:番が回ってきたら特定しました!か大炎上を使い場を引っ掻き回そう。チャレンジに成功している場合はエネミーも含めた全員の中からランダムで目標が決定され、失敗していた場合はヒーロー側の中からランダムで目標が決定される。

・少年:最も近いヒーローに自暴自棄を放ち続ける。

●福丸シオリ

共感装置の力により我を失いつつあるWAVEの記者さん。

少しでも頭に響くこの声を減らすために、ヒーロー達に牙を剥けてくる。

 

・能力値

【肉体】30 射撃60・操縦60

【精神】40

【環境】30

 

・エナジー

【ライフ】10

【サニティ】10

【クレジット】10

 

・移動適正:地上

 

・パワー

【激写!!】

属性:攻撃 判定:操縦60

タイミング:行動 射程:1

目標:1体 代償:10ターン

効果:目標は運動の判定を行なう。失敗した場合[転倒]に加えターンカウンタを6ターン進める。

…彼女の本業。輝くプロの技。

 

 

【先読み】

属性:妨害 判定:射撃60

タイミング:特殊 射程:2

目標:1体 代償:サニティ4

効果:目標が判定を行なう直前に使用できる。判定の成功率を-20する。このパワーは1Rに1回使用できる。

…うるさい!!うるさい!!何も考えるな!!

 

●視聴者

レンズを通した先に居る大勢の国民。

()の中に記載された数字はチャレンジ失敗時のもの。

 

・能力値

【肉体】1

【精神】1

【環境】50 作戦80(110)

 

・エナジー

【ライフ】1

【サニティ】30(50)

【クレジット】1

 

・移動適正:

 

・パワー

【姿なき群衆】

属性:強化 判定:ー

タイミング:永続 射程:ー

目標:自身 代償:なし

効果:キミはダメージとスティグマを受けない。

…匿名の強さと怖さ。

 

【特定しました!】

属性:攻撃 判定:作戦80(110)

タイミング:行動 射程:3

目標:1体 代償:20

効果:目標は経済-10の判定を行なう。失敗した場合2D6(3D6)点のスティグマを受ける。

…悪ふざけと面白半分と、少々の悪意

 

【大炎上】

属性:攻撃 判定:作戦80(110)

タイミング:行動 射程:3

目標:3体 代償:20

効果:目標は経済+10の判定を行なう。失敗した場合1D6(2D6)点のスティグマを受ける。

…根も葉も無い噂。気が付けば数万RT!

 

余韻フェイズ!

 キミたちの活躍により愛の宿り木は捕縛されることとなるだろう!

 ヒーローたちの行いにより、好きに演出してもらいたい。

 

"大きな窓からは、幾千もの星々の中で悠然と輝く我らの星があった。この息を呑むような光景に、キミたちは何を感じているのだろうか。周りを見やる。皆の心の中なんて何も聞こえないし分からない。。

きっと今は、それで十分なのだろう!!"